[文芸・読書]の記事一覧

高橋和巳「孤立無援の思想」と森田童子 [3/3]【改】[2016/07/30]
 高橋和巳の小説を読みはじめたのは、高橋が亡くなって十年ほどのちのことだ。そのとき予備校生、いや、大学生だったかもしれない。  事前知識なしに手にとった。  一九七〇年代後..

高橋和巳「孤立無援の思想」と森田童子 [2/3][2016/07/29]
「五分で読める『孤立無援の思想』」のようなまとめを自分がしてどうする、と思うけれども、なにしろ高橋和巳の文章は晦渋だ。「孤立無援の思想」は読みやすいほうで、長編小説にはまいって..

高橋和巳「孤立無援の思想」と森田童子 [1/3][2016/07/28]
 参院選、東京都知事選と続く二〇一六年七月。  高橋和巳の「孤立無援の思想」を、読み返し続けている。四百字詰で二十五枚ほど、岩波書店「同時代ライブラリー」版で一六ページ強の小..

武田泰淳『森と湖のまつり』 〜 意外な軽さの理由[2016/07/12]
武田泰淳(※1)の小説は『風媒花』と『ひかりごけ』しか読んだことがない。『風媒花』はスケールの大きさを感じさせるのに、尻切れとんぼで終わってしまう中途半端な作品だったし、『ひか..

久生十蘭の『墓地展望亭』を読む事、並に口述筆記による小説作法の事[2016/02/03]
リストリア王国。パリからバルカン半島へ大陸鉄道でわたった先にあるヨーロッパの小国。ルネサンス式の王宮は国王の居所でもあり、その長く続く王制は国民に支持される一方で、王位継承権を..

ジョン・キーツ「魂創造の谷」、あるいは、自殺したくなったら読む手紙[2015/12/24]
 この一連のブログでジョン・キーツの詩が二つも訳出されている。キーツ愛好者の一人としてはうれしい限りだ。日頃英語の詩を読んでいて、それを日本語に移すことの困難は十分に知っている..

John Keats を読む On Death 邦訳【完成版】──自殺したくなったら読む詩【改】[2015/12/19]
On Death 死について Can death be sleep, when life is but a dream, And scenes of bliss ..

John Keats を読む On Death 邦訳【テイク1・テイク2】【改】[2015/12/18]
【テイク1】  ジョン・キーツ(一七九五〜一八二一)の詩を、もうひとつだけ訳してみよう。  英語も英文学史も素人なのに「昔の英語の詩」を訳すなんて、自力では厳しすぎるが..

John Keats を読む In a drear-nighted December 邦訳【完成版】【改】[2015/12/17]
※ジョン・キーツの手稿版を使いました。 In a drear-nighted December さびしい夜の十二月に In a drear-nighted..

John Keats を読む In a drear-nighted December 邦訳・テイク3【改】[2015/12/16]
 原文をジョン・キーツの手稿版に切り替えた。  テイク2までに使った版と違うのは第3連で、違うところは赤字に。  テイク2への「Comment」欄などから受けた指摘は、忘備..

John Keats を読む In a drear-nighted December 邦訳・テイク2【改】[2015/12/15]
「持つべきものは〜」というとおり、早々と誤訳を指摘してもらえた。  さっそく「テイク2」を作った。  忘備のために、指摘された「テイク1」の問題点も詩の後に書いておいた。 ..

John Keats を読む In a drear-nighted December 邦訳・テイク1【改】[2015/12/14]
 このブログの別の筆者が、ジョン・キーツというイギリスの詩人のことを、ときどき書いている。  二十六歳で亡くなったので、詩人だったのはわずか五年ほどらしい。そして、そのとき広..

ルシアン・ネイハム『シャドー81』はなぜ映画化されないのか?[2015/11/09]
南沙諸島問題について関係各国の主張が喧しい。地理的な位置関係だけをみると、フィリピンが一番近いように見える。とは言え、海洋資源や海上輸送など様々な利権が絡む問題は、そんなに簡単..

「カラマーゾフの兄弟」再読と似顔絵捜査官[2015/11/02]
 絵の心得は、ない!  学校の「美術」の授業は中学まで。以後、絵筆に触れていない。  校外写生や自画像。美術の時間がつらかったのは、上手下手もあるが、自分の小賢しさを思い知..

上田敏「落葉」覚書[2015/10/31]
 秋も次第に深まり、今日は夕方から部屋の中にいても長袖一枚では心許ないほど寒く感じられた。だから、というわけでは必ずしもないが、以前に別のところで話題にした上田敏の『海潮音』に..

ソラリス体験記【上】 〜 スタニスワフ・レム『ソラリス』を読む[2015/08/02]
『ソラリス』を沼野充義の新訳で再読、その勢いで『惑星ソラリス』をDVDで再見した。 真夏にすることじゃないと思いつつ、頭が混濁するようなメンタルSFの世界を堪能した。 この..

再び吉田秋生:しかし、今度は『海街diary』、いやオーデンの詩か?[2015/07/28]
※ コメント欄にある通り、大島弓子の漫画について事実誤認があったので、遅まきながら訂正しておきました。(2019/06/10) 我ながら懲りないというべきか、同人のレビュ..

高橋和巳『邪宗門』再読 〜 日本文学の最高峰 【下】[2015/06/06]
【上】はこちら 二代教主仁二郎と三代教主千葉潔、その間で教団の存続を支える阿礼と阿貴。この主要人物の他にも、数多くの人物が様々な人生を歩んでいく。 貧民窟で野垂れ死..

高橋和巳『邪宗門』再読 〜 日本文学の最高峰 【上】[2015/06/06]
高橋和巳の『邪宗門』をはじめて読んだのは、十五年ほど前のこと。図書館で「高橋和巳全集」を借りて、通勤電車の中で読んだ。全集というからには頑丈な装幀で、けれど何度も借り出されてい..

埴谷雄高『死霊』〜「形而上小説」を読む苦役[2015/01/22]
埴谷雄高が半生を費やして書いた未完の著『死霊』を三ヶ月ほどかけて通読した。「通読」と言うのは初めて第九章まで通して読んだからで、何度か読もうとしてもその度に跳ね返されてきたのだ..

小学館「少年少女世界の名作文学」(1964〜1968)の「椿説弓張月」に再会したこと .[2014/12/28]
 小学館『少年少女世界の名作文学』、全五十巻。  一九六四年に刊行が開始されたもので、月一冊配本だったそうだ。A5版ハードカバーで、カバー込みの背幅つまり厚さは、四十数ミリ。..

田村隆一「命令形」について:命令と祈り[2014/12/25]
 臆面もなく自らの不徳を「告白」すれば、子どもの頃から「詩を読むのが好きだ」と自認していたくせに、そのくせ数十年もの長い間、田村隆一という詩人の存在に気がついていなかった。そん..

久坂葉子と阪神震災二十年[2014/12/24]
 私は、いろんなものを持っている。  そのいろんなものは、私を苦しめるために活躍した。私の眼は、世間や自然をみて、私をかなしませた。私の手足も徒労にすぎないことばかりを行って..

これが詩だ v.s. これは詩だ [2014/10/12]
「これが詩だ」ということは難しい。おそらく不可能だろう。しかし、「これは詩だ」ということは、もしかしたら可能かもしれず、もしも可能ならば、それを試みたとしても必ずしもドン・キホ..

詩、それとも詞? いや、歌だろう! 〜孤独との関わりを通して〜[2014/09/18]
このブログのもう一人の筆者が「詩」と「詞(歌詞)」の違いを話題にしている。実際のところ、「詩とは何か?」という問いに対する解答は、時代と場所によって千差万別であろうし、さらには..