[文芸・読書]の記事一覧

John Keats を読む Ode on Indolence 邦訳【完成版】[2019/08/30]
 しばらく中断していた、ジョン・キーツ(一七九五〜一八二一)の詩を読んで訳す、という危険運転、いや無謀行為、どちらでもいいが、それを再開。  大学で英文学の先生をしている友だ..

ドストエフスキー『地下室の手記』 〜 四十年ぶりの再読[2019/08/10]
 本屋の文庫本コーナーで毎年夏になると開催される「新潮文庫の100冊」。1976年に始まったときは、本の売り出し企画があまり一般的ではなかったので、かなり注目を集めたと記憶して..

ユーミンの歌詞と日本語の深い闇[2019/05/16]
 高校〜大学時代の友人にユーミン(荒井/松任谷由実)の大ファンがいた。ここで「いた」と過去/完了形で書かねばならないことが真に痛恨事であり、今こうして書きながらも、心に不穏..

スタニスワフ・レム『大失敗』 〜 コンタクトの後の悲劇[2019/03/29]
「宇宙人」という言葉に違和感を覚えたことはなかった。子どもの頃に親しんだ少年マガジンや少年サンデーには、ややおどろおどろしい三面記事風の読み物ページがあって、そこには必ず「宇宙..

哲学という徘徊[2018/09/03]
 ちょっと気になることがあり、かれこれ30年以上前に手にした本(というか、正確には小文)を再読してみた。クワイン(Willard V. Quine; 1908-2000)という..

さようならピーター・メイル 南フランスの記憶とともに[2018/08/23]
 残暑のなか、とくに理由はないが、ピーター・メイルのエッセイを再読していた。 『南仏プロヴァンスの12か月』('A YEAR IN PROVENCE' 邦訳:一九九三年)..

日本の古代史を「朱」の採掘輸出ビジネスで解釈しなおそうという面白い本が出た .[2018/08/18]
 このブログで著書を紹介してきた蒲池明弘さんが、この夏、文春新書にさらに一冊の新著を加えた。  題して『邪馬台国は「朱の王国」だった』。  これまた面白い本なので、手にとっ..

さようなら青山ブックセンター六本木店−反省とともに【改】[2018/06/28]
「本の時代」を支えた書店が、またひとつ閉店した。  かつて「ABCに寄ってから行くわ」で話が通じた、青山ブックセンター六本木店だ。  一九八〇年代中盤から一九九〇年代、もっ..

A.E.Housmanの詩[2018/05/29]
   このところ、特別に鬱というわけではないのだが、仕事が忙しいことと、おそらくは忍び寄る老いが災いして、腰やら肩がまるで錆び付いた自転車のようにキーキーと悲鳴を上げて、あま..

ジョン・グールド『ヒマラヤ山脈百鳥類図譜』− 美しい本に出会った[2018/01/10]
 美しい本に出会った。 『ヒマラヤ山脈百鳥類図譜』。  一八三二年に、イギリスの剥製師・鳥類研究者・博物学家にして出版者でもあった、ジョン・グールド(一八〇四〜一八八一)が..

A.E.Housmanの悲しい(失恋の)詩[2017/10/24]
 A.E.ハウスマン(Housman; 1859-1936)という詩人がいる。詩人としてもそれなりに有名だが、古典学者としての方がいっそう高名であるらしい。没後100年にもなろ..

John Keats を読む Lines on the Mermaid Tavern 邦訳【完成版】【改】[2017/08/05]
Lines on the Mermaid Tavern 「マーメイド・タヴァーン」賛歌 Souls of Poets dead and gone,  死のかなたの ..

高橋和巳『我が心は石にあらず』再読 〜 今になって気付かされること[2017/07/12]
幾たびかの引越しや不用品の整理をかいくぐって、今でも本棚の片隅に陣取っている数十冊の古い文庫本。ふと思いついて手に取ると、昔読んだ記憶が一気に溢れてくるものもあれば、タイトルだ..

翻訳の問題:ポール・ヴァレリー『カイエ篇』[2017/06/06]
 ときどき音楽中毒になる。そして、もっと稀には「中島みゆき病」にもなる。が、今はフランスの詩人というべきか、偉人というべきか、異人というべきか、ともかく、かなり風変わりな知性を..

ケネス・バーク(Kenneth Burke)、異端のすすめ[2017/04/05]
(読み返してみて、我ながらこれでは誤解を生みかねないと感じるところがあったので、一部書き変えました。)  ケネス・バーク(Kenneth Burke; 1897-1993..

古事記は縄文火山の記憶の書でもあるという面白い本が出た .[2017/03/27]
 このブログで紹介したことがある、蒲池明弘さんの著書が、文春新書の一冊となってさきごろ発売された。  不思議なタイトルの本だ。 『火山で読み解く古事記の謎』。  古事..

平野啓一郎『マチネの終わりに』 〜 小説を読む愉しみと悲劇の匂い[2017/03/08]
(かなり長いです) 平野啓一郎を読むようになったのは『決壊』からだ。衝撃のデビュー作と謳われた『日蝕』も『葬送』も読んだことがなかった。この二冊は本屋でパラパラと流し読みした..

新刊書店と『遺失物管理所』[2017/02/09]
 新刊書店に入ると、ひどく気分がふさぐようになった。  このブログのべつの筆者が大型新刊書店の継承出店を絶賛しているが、ああいう店づくりは、まったく苦手。本や雑誌に食い殺され..

「大阪城=前方後円墳」という説を知っていますか? .[2017/01/27]
「〜という説を知っていますか?」というのは、インターネットの客寄せ常套句のひとつ。 「まとめ」と称して、ネット上の既存情報を巧妙に切り貼りしてアクセスを稼ぎ、連動する広告収入..

John Keats を読む Why did I laugh to-night ? 邦訳【完成版】【改】[2016/11/12]
Why did I laugh to-night ? Why did I laugh to-night? No voice will tell:  どうしてぼく..

John Keats を読む O Solitude! if I must with thee dwell, 邦訳【完成版】【改】[2016/10/30]
O Solitude! if I must with thee dwell,  O Solitude! if I must with thee dwell,  ..

John Keats を読む To Autumn 邦訳【完成版】【改】[2016/10/23]
To Autumn Season of mists and mellow fruitfulness 秋は霧 おだやかな実りの季節 Close bosom-frie..

ボブ・ディランとノーベル賞 (多分「続き」があるはず……)[2016/10/18]
 この話題について書きたい気持ちと、同時に書くことを躊躇う気持ちがせめぎ合っている。自分でも自分の考えにまとまりがつかないのだろう。そこで、言い訳がましいけど、断章のような形で..

To be, or not to be は、生きるべきか死ぬべきか? [2016/09/24]
今さらの話ではあるが、ハムレットの(というか、あらゆる舞台を通して?)最も有名な台詞である To be, or not to be--that is the questionの..

閑さや 岩にしみ入る 蝉の声: この蝉はヒグラシに決まっている[2016/08/18]
 神戸に暮らし始めて二年になる。つまり、この夏で神戸の夏を二度経験したことになる。住居が海沿いにあるので比較的涼しく、朝夕出歩くときに海を眺め、凪いだ海を大小の船が滑るように進..