2021年11月02日

自民党と中国共産党

 まるでどこか他所の国の出来事のように現実感の希薄な選挙が終わり、自民党の圧勝(と言っていいのだろう)という情けない結果が出ている。が、始まる前から全く期待していなかったので、特に落胆もない。(かなり以前から、もしかしたら物心がついた頃からか、選挙というものにはほとんど何も期待しないのが習い性のようになっている……) 「落胆もない」というからには、そして、その数行前には「情けない結果」と言っていることにも明らかなとおり、愚生は自民党が大嫌いである。「自民党的なものが大嫌い」と言った方がいいのかもしれないが、ともかく、あの嘘つき体質、あの隠蔽体質、誰も責任を取らない体質、アホなくせにやたらと偉ぶる体質には、どうしても許せないところがある。しかし、おそらくこれは日本という国に住んでいる限り、もうどうしようもないことなんだろうと諦めてもいる。周囲を見渡せば、この「「自民党的体質」のやけに蔓延っていること! そして、なおいっそう恐ろしいことには、これが我身の内部にまで浸透しているのではないかという不安! この日本という温暖湿潤な季候に生きる以上は黴から逃れられないように、この近代日本という社会に生きる以上、まるで亡霊か怨念のように、「自民党的なるもの」から逃れられないのではないか? こんな悪夢のようなことさえ考えさせられてしまう。

 それにしても、仮に投票率が55%程度だとしても、いったいどういうわけでこんなにも多くの人々が自民党を支持するのだろう? 自民党のいったい何がそんなに魅力的なのか? 本当に、どうしても理解できない……

211103eL.PNG

 先ず、テレビの街頭インタビューなんぞを聞く限りでは、多くの人が現状に不満を持っている。そして、その責任の大部分が政治にあることもご承知なようだ。そして、その政治を仕切っているのが自民党であることは言葉にするまでもない。つまり、当の相手を詰っていながら、それでもそれを支持している、と? いや、自民党=現在の政治への不平不満は、実はマスコミお得意の情報操作に過ぎず、実際にはかなり多くの人が現在の生活、現在の社会のあり方におおむね満足しているということもありえる。しかし、だとしたら今度は、少子化という確実な大問題と、巨大地震という潜在的な大問題、そして、福島の原発事故処理や韓国・中国・ロシアとの積年の問題解決、等々の難問蓄積に対して、自民党支持者たちは何を思っているのだろうか? 「いや、どうせ何も考えていないにちがいない!」と、罵声にも似た言葉を投げつけたいところだが、豈図らんや、世の自民党支持者には愚生などよりも遙かに真剣かつ慎重に、上記の大問題について考えている人もいるようである。そして、そうした御仁たちが口を揃えて言うのは「それでも、野党よりは遙かにマシだ」というものだ。

 実際、自民党が現在の日本を作ってきたといっても過言ではなく、そして、現在の日本で甘い汁を存分に満喫している人間が一定数いることも確実なのだから、一定数の人間が自民党を悪党だと承知しつつ支持し続けることには、何の不思議もない。不思議なのは、その一定数が自民党支配を盤石なものにするほどの、つまりは日本社会における「多数派」を形成しているという事実だ。同じような先進国で、フランスの普通の勤め人にはほぼ例外なく1ヶ月余りの夏休みがあり、ドイツの週当たりの労働時間が35時間になり、イギリスでは失業保険を貰っている小父さんたちが昼間のパブで楽しそうに歓談している一方、日本では現役の会社勤め人(つまり、ある程度の社会保障がそれこそ保証されている人々)でさえもが将来の年金や自分自身の老後を心配し、若年層に至っては、真剣に考えれば考えるほど絶望しか待っていなさそうなのに、それでもなお政権与党が選挙で大勝利を収めるとは……

 なぜ自民党がこんなにも強いのか? しばしば言われるのは、「自民党というのは厳密に言えば政党ではなく、選挙に当選するための互助組合のようなもの」らしく、それが彼らの「強み」であるらしい。つまり、支持率を上げるためになら何であろうともお互いに協力できる。確かに、ごく最近に行われた安倍から管への権力委譲、支持率低下、そして、管の辞任に伴う総裁選、その結果としての岸田の選出。こうした一連の動きを見つめ直してみれば、「選挙互助組合」という揶揄も当たらずも遠からずと思われる。選挙に勝つためなら、昨日の敵とでも握手することを躊躇わない。

 けれども、いっそうしみじみと思うのは、現在の中国共産党支配に関して中国人の友人が述解した言葉だ。曰く「どんなに君が中国共産党を批判してみても、そしてその批判の大部分が正しかろうとも、さらには、その批判をそっくりそのままこの私が繰り返してみたところで、中国共産党の専制政治は当分は安泰ですよ。少なくとも、6億とも10億とも言われている中国人民から大量の餓死者が出ない限り、中国共産党の支配が揺らぐことは絶対にないと断言できます。少しでも近現代史を知っている人ならご存知だろうし、首肯するしかないと思うけれど、中国が今ほど豊かで、中国が今ほど安定していた時期は、少なくともこの200年間にはなかったのだから」

 こう「解説」されたとき、確かに返す言葉はなかった。中国人民の胃袋を満たせている限り、中国共産党支配は安泰だ。だからこそ、南シナ海や東シナ海への進出が、どんなに国際的批判を浴びようとも、彼らにとっては正に命綱なのだから、国家の命運を賭けた事案にもなっているのだろう。

 そして、中国人の友人の「解説」の字句を少し変えるだけで、案外と自民党支配の秘密も明らかになるのかもしれない。つまり、何だかんだと言ってはみても、結局、現在の日本人の多くは現在の自分たちに満足している。夏休みがなかろうが、サービス残業が続こうが、老後の生活に不安があろうが、教育格差が深刻になりつつあろうが、真っ赤な嘘を吐く政治家がでかい顔をしていようが、ともかく、現在の生活にどちらかと言えば満足している。結局はこういうことなのではなかろうか。だとしたら、愚生としては、この件についてはもう貝のように口を閉ざすしかないのだろう。気持ちの悪い、泥濘のようにジメジメとした、寒々として冷気が襲ってくる場所、あるいは背後から毛虫や蛇どころか、毒虫や害虫がにじり寄ってくるような場所に座っている人に向かって、「もっと気持ちのいい場所に移ったらどうですか?」と言ってはみても、当の相手から「いや、ここは案外といいところですよ」と明るく返事をされてしまっては、もはや言い返すのも野暮というものだ。問題は、その毒虫や害虫が我身にまで迫ってくるかどうかだが、これは別問題として考えるしかないのかもしれない……どうしたら我身を守ることができるのだろうか? (H.H.)
posted by 冬の夢 at 16:22 | Comment(0) | 時事 政治 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
コメントを書く:ペンネーム可・アドレスは表示されません
お名前:

メールアドレス:

ホームページアドレス:

コメント: