2019年09月17日

カセットに録音された音をパソコンに取り込む方法──まぼろしのデモテープ .

 カセットテープに録音された音をパソコンに読み込み、デジタルデータにする方法。
 プレーヤーが手近になくて、聴けなかったカセットから。

 インターフェースを買い、カセットデッキを借りてライン接続し、音声編集ソフトで作業するのが理想だと思うが、簡易式でやってみた。
 借りたラジカセのヘッドホン端子とパソコンのマイク端子を、持っていた両端ミニプラグのケーブル(買っても数百円です)でステレオ接続。
 編集ソフトは、無料ダウンロードできる「Audacity」を使用。以前から簡単な音声ファイル作りに使っていて、無料でもアマチュアには十分すぎる機能がある。取説いらずで感覚的に操作でき重宝だ。

       ♪

 まず練習で、別のカセットテープから試しに読み込んでみる。
 昔やったアナログの「ダビング」と同じで、録音音量が0デシベルを飛び出し過ぎないよう、「Audacity」のメーターを見て調整。
 カセットは古く、テープがヘタっていそうだから、ノイズ混じりの割れた音になるとイヤなので、わずかに低めに設定。思ったよりずっと簡単にデータ化できた! 
 ただ、1つの大きいファイルになった音声データを切り分ける作業には、苦労した。
「Audacity」には、無音部分に自動でラベルを貼る機能があり、位置を手動調整後、切り分け保存は自動で出来るはず。でも、あるラベルの位置を動かすと、なぜか他のラベルの位置も動いてしまう。なにか見落としていると思うが、解決できなかった。
 それでもオーディオセットで鳴らしてみると、「Audacity」でわずかにノイズ除去──これも簡単で効果的な機能!──もするなど、もとのアナログ音声をいじってあるのに、意外なほど気持ちいい音で聴けた。
 それならと、本作業開始。

       ♪♪

 友だちが三〇年ほど前に録音してくれた、彼の自作曲のデモ演奏だ。
 彼は、このブログの出発点になった、四〇年前に高校生たちで作った同人誌の初代メンバーだった。
 四〇年前から現在までの経緯はここを見ていただくとして、その友だちは、高校生にしてすでに才光る少年だった。といっても書くものはブッ飛んでいるし、ピアノもギターも上手くて作曲もするが、作る曲がまた、いっぷう奇妙だった。つまり「異才」である。

 わたしは同人誌に参加して初めて、彼と知り合った。
 どちらも音楽が好きで、それ以前から演奏もしていた。
 しかし、彼と演奏したことはない。
 彼の「異才」への、こちらの引けめが大きくて、ビビってしまったせいだと思う。
 ふたりとも大学生になり、それぞれに違うジャンルの演奏も続けていたが、いっしょに音楽をやる機会はなかった。

 会う機会もまれになり、社会人になって数年たったころか、彼から急に連絡があり、ふたりで曲を作らないか、と提案された。
 異才だった彼は、「異」であることは世に通じにくいと自認したのか、まじめな会社員になっていた。
 もっとも、「異」を路線修正し、その「才」を世に広めたいという熱意があったに違いなく、地方勤務していた地元でメンバーを募り、直球の歌ものロックをやるバンドを結成していた。かなり評価もされていて、地方局の番組に出演もしていたらしい。

 いっしょに曲を作ろうと彼がいってきたいきさつは、はっきりしない。記憶違いがあるかもしれない。
 地域観光か鉄道会社のキャンペーンソング公募に応募しようという話だったように思う。
 が、なぜ自分のバンドで作らず、わたしを誘ったのか。出来た曲がどこでどう演奏されたか、発表されたかどうかも知らない。彼のロックバンドでは、演っていなかったと思う。
 ふたりで2曲ほど作っただろうか。わたしはたぶん、詞のかなりの部分と一部のメロディ、だったような……もちろん、補作修正も編曲も、ひとりで演奏と打ち込みをして仮歌デモを作ったのも、彼だ。

       ♪♪♪

 そのデモが録音された、カセットテープが出てきた。
 やや線の細い、彼の歌声を聞いていると、シャイで引きが早いようでいて徹底した完璧主義で、かつ頑固でもあった彼が、いま隣で歌っているかのように、その「才」の「異」な美しさが伝わってくる。
 曲のどの部分を自分が作ったかは、聴き直してもよくわからないが、曲そのものは、古めかしいというか、ほほ笑ましいというか、思わず赤面してしまいもする。
 しかし、オケを録り直して、ご当地アイドルに歌ってもらったりすると、第三セクター線のキャンペーン曲などに、いまでも通用するんじゃないか(笑)という気もする。いや、それは自賛しすぎだな。「気がしなくもない」にしておこう。

 驚いたのは、デモがそれぞれ2テイク録音されていたこと。
 彼が歌ったテイクの後に「カラオケ」が録音してあった。
 そうだ、彼はわたしに歌わせる気だった。
 応募する完成版は、お前の歌で録音するから、歌メロを聴いておぼえて、カラオケで練習しといてね、と。
 三〇年もしくはそれ以上前、わたしはとっくに演奏はやめていて、それは実現しなかったが、彼がもし、首都圏近辺に転勤になったら──その予定だった──「いっしょにバンドをやろう! 俺も練習し直す!」と、約束だけはした気がする。
 あやふやな約束だったけれど、わたしたちは若くて、音楽が好きだった。

 その約束も、かなわなかった。
 ほどなくして、彼は亡くなったので。(ケ)

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Originally Uploaded on Sep. 18, 2019. 23:45:24
posted by 冬の夢 at 00:05 | Comment(0) | 音楽 オーディオ・楽器 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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