2017年12月25日

2017年12月、今さらのチェキ!

(チェキ本体の画像を載せると同時に、文章もほんの少しお化粧直し。)

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(instax mini 90という、シリーズ最高級! 奮発しました)

 今さらチェキ(インスタントカメラ)について何か書いたところで、何の新味もないことは百も承知だが、実は(と言うのも大袈裟)数年前からチェキのことは気になっていた。というか、数年前(2年くらいか)になってようやくその存在を知ったのだが、そのとき「小型化したポラロイドカメラだ」と思い、以来強く惹かれるものを感じていた。まっ、いつもの(?)子供時代への郷愁、亡くなったものへの妄執の反映だ。が、さすがに購入には至らなかった。理由は、「しょせんは若い女性や子供が使うオモチャだ」ということではなく、すでにその頃には「スクエアフォーマットのチェキが近々発売されるらしい」という噂が聞こえていたからだった。正方形の写真が撮れる小型ポラロイドカメラ! それは最高のオモチャではなかろうか。というのも、いまだにフィルムカメラにノスタルジーと愛着を感じている身としては、スクエアフォーマットのチェキといえば、それはつまりは6x6の、いわゆる中判カメラのフィルムサイズだ。言い換えれば、ローライフレックスで撮った写真を引き伸ばさずに焼けば、スクエアフォーマットのチェキと同じような(もちろん画質は雲泥の差だが)ものになる。

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(近所の喫茶店)

 だが、心待ちにしていたスクエアフォーマットのチェキは幻に終わってしまった。ご承知の方がほとんどかもしれないが、少なからずの人々の期待を裏切るようにして、登場したのはデジタルチェキとでもいうべき、何とも魅力の乏しいハイブリッドの機種だった。もっとも、このSQ10をチェキの正常進化として歓迎している人もいるようで、人の好みは千差万別ということなのだろう。
 確かに、小型ポラロイドカメラとしてならば、デジカメの便利さを取り入れて、簡単に補正や修正が加えられるようにして、少しでも失敗の少ない方向に向かうことは「正常進化」なのかもしれない。しかし、こちらとしては、ポラロイドの醍醐味は「こんなのを撮りました」にあるのではなく、「こんなのが撮れました」にあるのであって、写真を作り込みたいのであれば、通常のカメラで撮ればいい(フィルムカメラでもデジタルカメラでも、お好きな方で)。つまり、チェキである必要はさらさらない。
 「待ち人来たらず」。

 となれば、もはや従来のチェキで妥協するしかない。子供の頃に欲しかったポラロイドの代用品として、所詮はオモチャと重々承知しつつ、さらにはフィルム代がやけに高い(1枚当たり70円以上もする!)ことも承知の上で、物欲を我慢できず、とうとう購入してしまった。

 ご存じの向きには釈迦に説法だが、チェキの機体の大きさは、人気の大きな理由の一つに違いない。かつてのポラロイドよりも二回りは小さい、その結果として、どうしても見劣りがするフィルムサイズの弱点と引き替えに、ハンドバッグどころか冬場のコートであればポケットにも入りかねない機体サイズの利点を獲得した。大きさ(小ささ)に加えて、重さ(軽さ)も素晴らしい。これなら誰もが気軽に持ち出せる。パーティーグッズとして注目を集めるのも当然の気がする。

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(ちょっとソール・ライター?)

 しかし、チェキを手にして、そもそもいったい何を撮ろうというのだろう? 自宅の室内や散歩途上の気になった風物、身近な人物、等々…… 上手く表現する言葉が見つけられないでいるのだが、チェキにはかなり奇妙な魅力というか(いや、そう言っては褒めすぎだ)、不思議に引っかかるものがある。少なくとも確実に言えること(十枚ばかりの写真を撮ってみて実感したこと)は、「チェキの面白さは、写真を撮る面白さではなく、写真が生まれる瞬間に簡単に立ち会える面白さだ」ということ。

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(よく見ると、後ろに洗濯物!)

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(逆光の海でも一応は撮れた?)

 フィルムカメラが主流だった頃に写真を始め、自分で現像し、自分で印画紙に焼き付けたことがある人ならば瞬時に理解してくれると思うが、暗室の赤ランプの暗い光の下で、現像液の中で次第に浮かび上がってくる画像を見守っているときの、非常に不思議な感覚。何もなかった真っ白な紙に、最初は得体の知れない、ランダムな模様が現れ、それが徐々に意味のある形になっていく。(そして、もたもたしている間に、せっかくの写真が台無しになってしまう!)この暗室の暗闇での体験が、チェキ(ポラロイド)では白日の下に晒される。デジタル写真にあれこれと手を加え、rawの画像から「現像」し、ホワイトバランスやらナンチャラ曲線を操作して、画像に補正を加えるソフトウェアをダークルーム(暗室)に対してライトルームと言うらしいが、そのデジタル・ソフトウェアがフィルムからの現像過程に喩えられるなら、チェキ(インスタントカメラ)のフィルムが行っていることは、印画紙への焼き付け作業に喩えられるだろう。実際に、チェキで写真を撮ると「フォトグラフィー(光・版画)」という意味が実感される。光によって、薬剤との化学反応を利用して画像を作り出す。その上、この光によって写し込まれた画像は、まさに絵と呼ぶのがふさわしいような、写真と呼ぶにはあまりにお粗末な代物ときている。この辺りにチェキの不思議な魅力があるのではないか。

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(あえて高いモノクロフィルムを使う意味はないかな)

 しかし、問題はランニングコストだ。こんな頼りない画像を撮るのに70円もかかる。皮肉なことに、この安っぽい写真が一番高くつく。  (H.H.)

posted by 冬の夢 at 00:15 | Comment(3) | 写真 カメラ・写真家 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
 これが続く限り、ワンショットのインスタントフィルムもなくならず愛用され続けるんだと、もの悲しいような、おかしいような、しみじみした気持ちになったチェキの活躍さきがあります。それは「ポラショー」です。
Posted by (ケ) at 2017年12月25日 11:36
「LOMO」の、スクエアフォーマットのインスタントカメラが今年秋に出ています。インスタックスミニも使えるはずです。ただチェキの仲間と考えるには、ちょっと価格が……サイズもやや大きい。
Posted by (ケ) at 2017年12月25日 11:38
えっ! LOMOから正方形の写真が撮れる機種が発売されたのですか! 知らなかった。慌てて調べてみると、確かにかなり大きいですね。でも一応折り畳み式のようなので、持ち運ぶにはデメリットは少ないのかな。しかし、折り畳むためには余計なアクションが必要だろうから、その分シンプルさは失われるか。ともかく、こういうのって、万事タイミングですね。多分、LOMOのその機種に手を伸ばすことはないでしょう……当分は手元のチェキで遊んでみます。
Posted by H.H. at 2017年12月25日 21:18
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