2017年02月13日

たまには詩でも #4

「過去の唄」

ふり返ると過去はいつも一枚の薄っぺらな絵になっちまう
何の厚みもなく、全てが平準化
それも絵巻や間抜けに横長のパノラマなんかでなく
シャガールか、それともキュビズムの絵のように
何十年も住み慣れた土地と
たった一日しかいなかった外国の街が同じ扱いだ
十年と一日が等しくなる
あれほど耐え難かった別れの哀しみが
ただの思い出になる
何という奇跡、何という混沌、何というバカバカしさ

私の思い出が結局私のものでしかありえないという悲しみ
透明なガラス板よりもはるかに頼りない
ありえなかった過去とあったはずの過去の境目
光の錯乱するように−錯乱さえも覚束ない−
どんなに見つめてみても決して見ることがない
確かめようのない過去が次々に去来する
ありきたりの旅先の眠れない夜
ホテルの空調の息苦しさ
転落予防のためにまともに開けることもできなくなった窓
遠くを走り過ぎる真夜中の救急車
赤の他人の危機を告げる赤いサイレン
(現代のセイレーンのなんて酷い歌声)
次第に不協和音に盛り上がるBGM

記憶と時間も本当には決して共鳴しないのだと思い知らされる
不吉な夜のエピソード

(H.H)



「たまには詩でも」●バックナンバーは→こちら←

posted by 冬の夢 at 00:50 | Comment(0) | TrackBack(0) | 創作(詩・小説) | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
コメントを書く:ペンネーム可・アドレスは表示されません
お名前:

メールアドレス:

ホームページアドレス:

コメント:


この記事へのトラックバック