2015年01月14日

ニコンDfと後継機症候群

 書いた本人が不思議に思うほど、長い間アクセスされ続けている文がいくつかある。ありがたいことです。
 たとえば「ニコンDfを買わなかった話──続・デジタル一眼レフが欲しい話が盛り上がらないこと」。
 新発売の人気カメラを買いに行ったが買わずに帰ったという、タイトル通りの話。使ってみた結果は何も書いていないから、カメラファンが読むとは思えないのに、なぜアクセスされ続けるのか不思議だった。
 知ってみると理由は簡単で、「ニコンDf」の「後継機」情報を求めるカメラファンが多いのだ。その二つのキーワードで検索すると、文脈は違うが両方含まれる上の文がヒットするようだ。情報を探す側は、ブログの内容に関係なく断片でいいからネタが必要なのだろう。 同じ目的で検索をかけてこの文にアクセスしたファンのかた、すみません。ここで離脱してください。 where there's smoke there's fire 火のない所に煙は立たず──のサブタイトルがついたウワササイト「Nikon Rumors」は、どこからどう見ても関係者から流出したとしか思えない画像が載っかっていることで有名なので、ウワサを楽しむこと前提で、そちらをご覧になるといいかも。いや、ニコンファンならとうの昔にご存じのことでしょう。

 ニコンのデジタル一眼レフは、「後継機症候群」なるものを広めてきたらしい。後継機症候群とは、デジタルカメラの新製品が出ると、発売されたばかりなのに、その次世代機種はどんな変更や改良がされるのか詮索したり話題にせずにいられなくなる症状のことと思われる。ほどなく、早く改良機が出ないかと騒ぎ出し、人気のあるモデルほど発症が早く重篤になる。カメラに限らない話で、「iPhone6」が発売になったばかりなのに「7」はどう変わる、発売はいつか、と騒ぎ出すのも同じだ。
 そのことは、なるほどと思うだけで、メーカーに煽動されているとは思わない。消費者の進化願望に応える「後継機」がいいタイミングで発売され、売れて経済が活気づくならいい。

150108DF.jpg
2014年12月24日発売のニコンDf発売一周年記念モデル「DfブラックGold Edition」
おお、ロゴなどが金ピカですね
限定1600台、うちレンズ付き(実売33万5000円前後)の1000台はすでに完売

 ただ、最新のカメラが発売されるたびに、性能をすこしでも進化させた「後継機」が期待されるのだとしたら、そもそも、どんな写真が写せることが求められているのか。よくわからない。
 プロが各々の専門領域で撮るような写真、ということだろうか。
 そうではなさそうだ。だったらプロが使うカメラを使えばいいだけだから。公道用スポーツカーを運転できたってF1マシンは乗りこなせない、ということはデジタル一眼レフの場合はない、つまりプロが使う高級機は、アマチュアにも扱えるからだ。

 しばし考えこんでいたら、「後継機症候群」は違う意味らしいとわかった。当のニコンの社内的問題をさして、ニコンの人が使った言葉なのだ。※1
 簡単にいうと、発売した自社製品の細部を多少手直しして「後継機」として販売することにかまけ、大きな開発イノベーションに挑戦する意欲が弱まる、という事態を指すようだ。ニコン製品の性能や品質に消費者の評価が高いからそうなる、というポジティブな背景もあるし、企業が戦略会議かなにかで議題にするなら、いいことだ。なにも問題なさそうだ。
 しかし、ここでもまた、わからなくなる。ニコンは、究極どんな写真を撮ってもらうことをめざして、カメラを作っているのだろう。
 いや、そうじゃないな。考える方向を間違えた。写る写真がどうかは関係ないわけだ。
 進歩してほしいという願望と、進歩させたいという意欲の合致。日本の得意分野、精密機器はまだまだ元気だぞと、素直に喜ぶべきなのだろう。

 人類が進歩の希望にすがりついているとしたら、それは無条件の信頼からではなく、諦めた先に何があるかわからない不安がゆえである。──ジョン・グレイ ※2

(ケ)

※1 dc.watch.impress.co.jp/docs/news/interview/20140924_668162.html?ref=rss
※2「わらの犬 地球に君臨する人間」(二〇〇九年/みすず書房)
posted by 冬の夢 at 00:00 | Comment(0) | TrackBack(0) | 写真 カメラ・写真家 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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