2013年08月24日

小学野球と高校野球

 小学六年生くらいだったろうか。
 草野球ばかりしていたような気がする。
 放課後、毎日のように公園のグラウンドに集まりプレイボール。同じクラスの男の子ほぼ全員が二チームに分かれて、ひたすら野球をした。
 子どもだったせいか、グラウンドがとても広くて、いつもあいていて、わたしたち専用のようだった記憶がある。クラスの女子の姿はもちろん大人の姿もない。いったん家に帰ってから集まったのではなく学校から直行していたような気もする。
 少子化という言葉がない四十年前の話で、転入世帯が新興住宅地に増え続け、新設の分校が出来ては独立していった小学校のひとつ。しぜんクラスの地元組と転入組になんとなく分かれてチームができ、わたしはもちろん転入組。
 強いのはむろん地元組! 地域に昔いた戦国武将の名が受け継がれているらしく、柴田だの丹羽だの、同じ苗字の子が何人もいたりして(マサヒコとかトシアキと呼んで区別していた)それだけでも強そうなのだが、身体は中学生なみで打席に立ったらホームラン、みたいな奴もいて勝てっこない。われら転入組チームに快勝美酒の思い出はぜんぜんなく、だいたい負けが込むとやたらにチーム名を改名するという、いまどきの二流企業みたいなことをするのでチーム名も忘れた! 
 転入組チームの足を引っ張るのは、わたしを筆頭とする青っ白い運動神経欠如児たち(なぜか転校生に多かった)。わたしはファーストで打順は8番か9番。要するに自分に向かってまっすぐ飛んで来る球を受ける以外、何もできないわけだ。自慢することではないが、いまだにキャッチボールもロクに出来なければ、バッティングセンターで(深夜に酔っ払って行くものだとはいえ)まともに打てたこともない。
 だが、無能だと難詰されたり、いじめられたり、チームをはずされたことは、まったくない。転校してきたとき街が中日ドラゴンズ一色なのだと知って、いじめに合わないよう中日の野球帽を買ったほどだが、草野球のとき、べつに全員が中日の帽子をかぶっていたわけでもない。「どん臭い」プレイが出たり、ストライクゾーンを小さくしようと打席でしゃがんで構えてみたり、思いつきの「冗談魔球」が誕生したりすると、敵も味方もなく皆で地面を転げ回って笑った、そんな思い出ばかり浮かんでくる。
 ただ、そこまで熱心に試合をしていたのに、夏休みに野球をした記憶はない。
 学校がないと、親に知られないよう集まる連絡手段がなかったのかもしれない。地元組と転入組のライフスタイルの違いが出て集まりにくくなったのか。
 とても暑い地方なので、夏の炎天下に野球は危ないと子どもの方がよく知っていたこともあるだろうし、なにより夏には野球より楽しいことがたくさんあったに違いない。

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このブログのもう一人の筆者が昔くれた。野球は、やるのも見るのもやめたけれど、これは大切にしています。
 
 猛暑の夏、そして、かりに今年より暑い夏が来ても、高校生選手たちが甲子園を本当に楽しんだならそれでいい。投手の連投が選手生命にかかわると批判する気もない。なぜなら、彼らが「いま」に賭けるなら、野球では燃え尽きたってかまわないと思っているから。将来プロで活躍する可能性をいうなら、高校野球とは別のプロ野球選手養成システムを作ればいい。
 そもそも甲子園に出ているのは、卒業と同時にプロになれるような選手がいて、いや集めて、甲子園に出られるように部活の運営が出来ている学校だ。公立校が代表出場し続けている県もあるじゃないかというなら、その県の私立高校で野球部に注力している学校の数を数えてみたらいい。
 という構造にもかかわらず、高校野球に無垢のドラマがあるように見せかけているのはマスコミだ。
 高校野球の取材では、おもに若手の記者が同じ場面で他社と競ってニュースの作り方を学ぶ。大きな事業でもあるから現場の組み立てや運営などロジスティクスを学ばされる社員もいるだろう。いいことのように思えるが、このシステムの中で、いまやメディア不信の最大の原因である、うんざりするような美談や予定調和、それをしてどうなるんだというような後付けの政局分析のような報じ方が学ばれて、それがニュースの各分野へ展開していくだけなのではないかと考えてもしまう。いっぽうで高校野球は、スポーツをめぐる暴力行為の最大の温床であったことは間違いなく、かつ、国内最大級の非合法賭博の対象でもある。そのことは誰でも知っていることだ。
 今年も、わたしと歳の近い監督さんたちが、あれこれと指導法や苦心などを喋るのが報じられてきた。エアコンにしがみついてヘバっている身からすれば、偉いなあ申しわけないなあと思う反面、いちど、そういう関係は切っていいんじゃないの、と思う気持ちもどうしようもなくわいてしまう。
 高校生「だけ」でやる高校野球が具体的にどんなものなのか、わたしにはすぐに思い描くことはできないけれど、そろそろ、そうしてもいい。(ケ)
posted by 冬の夢 at 10:39 | Comment(0) | スポーツ | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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