2012年06月23日

ラジオとインターネット・ラジオ(2)

インターネット・ラジオで最初にお世話になったのは、イギリスのBBC放送だった。だが、これは音楽を聴くためと言うより、もっぱら教育番組を聴くためだ。BBC3がクラシック音楽とアコースティック音楽専門局で、BBC4が教育番組専門局。両方ともプログラム自体は信じがたいほどに充実している。日本の某放送局も少しは見習って欲しいといつも願っているが、一方は短波放送の昔から世界中にリスナーがいるのに対し、他方は潜在的リスナーを全て数え上げても1億人少々なわけだから、同じことを要求するのは酷であるばかりか、不公平でさえあるだろう。(とはいえ、NHKだってもう少しは健闘できるのではないだろうか?)ともかく、BBCのプログラムは、特に教育番組は、少し探すとお宝が満載という感がする。一方、クラシックでもライブ音源なども多く、非常に魅力的だが、最大の欠点はその音質だ。教育番組やラジオドラマなら、音質云々など野暮なことは言わない。ノイズなしで聴ける限り、こちらとしてはその恩恵に与るのみで、文句のつけようがない。しかし、クラシック音楽となると、大きく圧縮された音源ゆえのやせ細った音がどうしても気になってしまう。元来ラジオで聴くべきものなのだ、と思えば諦めもつくし、事実諦めるべきなのだろう。が、せっかくの貴重音源だと思うだけに、それだけいっそう高音質のオーディオで聴きたくなる。このジレンマに我慢できず、BBC3はあまり聴かなくなっていた。(BBC1と4は今でもよく聴いている。)

それからしばらくして(3年ほど前だったか)、「インターネットでBBCを聴いている」という話を何かの機会に20代の知人に話したところ、「最近は日本の放送局もインターネットでライブ放送をしていますよ」と言われ、自分の無知に驚かされた。こちらは東京や関西のラジオ放送を何とかして聞けないものかと、この稿の(1)にも書いたように、ラジオを購入し、ループアンテナまで試みて、空しく遠距離受信に挑戦していたのに、「TBSラジオもインターネットで聴けますよ」と涼しく言われたのだから。

教えてもらったのは、今ではたいていの人が知っている「ラジコ(radiko)」というもの。「おー、これでTBSも文化放送も聴ける!」と喜び勇んで帰宅し、パソコンに向かったのだが、なんと!目下住んでいる岡山はradikoの配信エリアではなかった。(いまだに岡山ではradikoが利用できない。どういうことなんだろう?)これには大いに落胆した。(その時点では、radikoさえ利用できれば、日本のどこにいても基本的には日本中のラジオ放送が聴けるものと、夢のようなものを想像していたのだが、radikoの実際は、「それぞれの地域のラジオ局がパソコンで聴ける」に過ぎず、東京の放送が聴けるのは在東京に限り、大阪の放送が聴けるのは在関西に限る。せっかくのインターネット・ラジオなのだから、関係者にはもう一頑張り、もう二頑張りもしてもらい、是非とも日本中で聴けるようにしてもらいたい。九州でも北海道のローカル局がいつでも聴け、北海道でも沖縄のローカル局がいつでも聴ける。これは想像しただけで楽しくないだろうか?)

「ラジコ」は幻の大魚として空しく消え去ってしまい、他に仕方なく、オーストラリアとかアイルランドとか、英語圏のインターネット・ラジオにも色気を出して近づいたりもした。その中ではオーストラリアのABC Australia Radio (https://www.radioaustralia.net.au/asia/radio)が結構面白い。何が面白いかって、やはりオーストラリアの英語が面白い。首相からして、思いっきりオーストラリア風に話している(当たり前と言えば当たり前だが)。そして、オーストラリアの人たちは概してかなりゆっくりと、聞きようによっては、驚くほどゆっくりと話す。アメリカやイギリスの英語放送を聞いた後でオーストラリアの英語を聞くと、「日本の英語教育のスタンダードをオーストラリア英語にしたらいい。そうすれば、日本人の英語コンプレックスも少しは軽減するのではないか?」と思えるほど、独特のアクセントによる障壁を度外視すれば(これは単に慣れの問題だろう)、彼らの話す英語はわかりやすい。アイルランドはRTE Ireland (https://www.rte.ie/radio/)だ。オーストラリア同様に、いや、おそらくそれ以上にアイルランド英語のアクセントもとてもチャーミングである。それは認めるが、番組構成の特徴的な「田舎臭さ」をどう評価するかで、好みの分かれるところ。その中ではRTE Goldがお奨めだろうか。懐かしのオールド・チューンが淡々と流されているだけにしても、ときおりとても懐かしい気分にしてくれる。後はごくまれにRTE Radio 1を聞くくらい。こちらではアイルランドのローカルニュースが聞けて、それが少し面白い。

このように、BBC、ABC、RTEのインターネット・ラジオは重宝している。しかし、所詮は英語。いくら意味がわかっても、2番目の言葉は1番目の言葉の代わりにはならない。母語とはよくぞ言ったもの。まったりと聞き流すには日本語のラジオに限る。というか、日本語のラジオでないと、他事をしながら聞き流すという芸当が上手にできない。集中して聴いていては、それはもはや「ラジオ」ではないだろう。それに、身近でアット・ホームな、ある意味では他愛もない話題に関するお喋りを聞くのもラジオの醍醐味なのだが、遠い外国のローカルなネタを聴いているのは、少々寂しいものがある。

こんなモヤモヤを抱え込んでいたとき、なんと!NHKもラジオ第一、第二、FM放送をインターネットでライブ配信していることを知った(我ながら、そして毎度のことながら、知ることのなんて遅いこと!)。注目したのはなんと言ってもFM放送。一昔前と比べると、FM放送のクラシック番組は激減したが、それでもある程度のライブ音源を流してくれるし、それが録音できれば、いずれは貴重なライブラリーになるのでは、と取らぬ狸を勘定していた。

パソコンを使って録音することはさほど難しくないので、すぐに試したみたが、結果は残念ながらBBCと大同小異。音質にさえ目をつぶれば、便利は便利なのだが……要するに、万事において、何かがちょっとイケてない。通常のAM放送はプログラムが貧弱、BBCのインターネットはクラシック音楽の音質がどうしても気になってしまう。英語での放送は、熱心に聴く限りは重宝するが、聞き流すには少々耳障りなときがある。まあ、これが人生。C'est la vie.というものか……

しかし、まだ一つ試していないことがあった。

いっそのこと、高校生の頃に戻って、ステレオのチューナーで普通にFMを受信し、かつてのように「エアチェック」(完全に死語だと思う)をしてみるのはどうだろうか。 (この稿、さらに続く)(H.H.) 

posted by 冬の夢 at 02:37 | Comment(0) | TrackBack(0) | 音楽 オーディオ・楽器 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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