2020年05月27日

散歩と鳥と「この十年」のジャズ新譜CD【1/2】

 外出しなくなって五〇日。

 なぜ「散歩と──」という題で書き続けているかというと、まさか外出を避けるべき事態になるとは思わず、運動しなくちゃならないからせめて散歩して、見聞きしたことだけを記録しようかと考えていたから。
 ほとんど誰も読んでいない文だろうけれど、ウエブになにか書くなら、伝聞情報を切り貼りしないよう心がけよう、ということもあった。庭先三寸の話題ばかりでも、自分が確実に見たことをていねいに書けば、小さな話の集積が意味を持たないともかぎらない。
 いや、もちろん意味なんかなくてもいいし、どこかしら遺言を書いているような気がすることもある。それはそれでいいと思っている。

 とくにオタクではなく、登校拒否などの経験もないが、ずっと部屋にいても困らない。五〇日の長さには実感がない。
 七〜八年前のある日、いい歳をして急に会社をやめたくなり、出社するなりやめた。転職どころか何をする気も起きなくなり、そのまま今日まできてしまった。よく出歩いたが、めったに人に会わず口をきかないので「外こもり」といっていた。そんな七〜八年に比べたら、五〇日などなんでもない。

       

 会社をやめると同時にやめたこともいろいろあるが、「爆買い」に近かった新刊書や音楽CDの購入をやめた。収入の問題だけが理由ではないと思う。

 いま、散歩できなくなったかわりに、十年近く見向きもしなかった新譜CDをチェックして、聴きたい盤を買ってみるのはどうかと思った。部屋でこつこつやる作業に向いていそうだし、この十年の音楽の「トレンド」も、自分なりにわかるかもしれない。
 じつは五年ほど前にも思いついたが、さまざまなジャンルを聴くから、いろいろな音楽雑誌のバックナンバーを見なければならないと思い、いまさら読み直すのもつらくて、やっていなかった。

 今回とりかかろうと決めたのは、オールジャンルの月刊音楽情報誌『CD Journal』のサイトに、新譜案内のバックナンバーがアップされているのを知ったからだ。
 版元に問い合わせてみると、各月発売の国内盤一覧に事後情報(廃盤など)を加えたバックリスト(インディーズ盤などをのぞく)だそうだ。

 かつて買った新譜CDのほとんどは、輸入盤もしくは国内「新古盤」(要するに中古品)で、新品国内盤はあまり買わなかったが、それでも助かるリストだ。
 ねらいは洋楽ポピュラー盤だが、ロック+ポップスはさすがに枚数が多すぎ、知らない新人だらけで挫折しそう。まずジャズから見ていくか。ちらほらリストを見ると、ジャズのCDだけは近年まで年に数枚買っていて、まったくの浦島太郎状態ではなさそうだし。

       

 ところが、始めてすぐ後悔した。
 しかも作業を進めるにつれ憂鬱になってきた。それなりに楽しかろうと思って始めたのに!

 ジャズCDの「この十年」をチェックするのに、国内盤新譜リストを見るのは間違いなのかもしれない。
 なので、以下にリストを見終えた感想を書くが、見当違いがありうる。誰か、くわしい人が教えてくれないだろうかと、心から思っている。

 数えなかったが、十二〜三年分の国内盤ジャズ新譜を、一万五千枚くらい見たことになるだろうか。
 気が遠くなりそうな数だが、目を通すだけなら早い。
 というのも──。(ケ)

【2/2】へつづく

200528st.JPG 
 近ごろ、元気を出したいとき、よく回した「ジャズ」は
STEPS「SMOKIN' IN THE PIT」(1999)だと思う。
1980年、東京でのライブ録音だ。
わたしにとっていまも同時代のジャズだが「旧盤」なんですね。
たしか当時の守旧的なジャズファンには評判がよくなく、
なまじメンバーが儲かる仕事を他にたくさん
持っていたせいか、いい形では続かなかったバンドだ。
どのメンバーの演奏もすごいが、核はまちがいなく
スティーブ・ガッド。じつはこの人の演奏が評判の悪さの
原因でもあったが、いま聴いてもこのバンドのスタイルは、
ジャズが伸ばすべき一つの枝だったことがわかる。


Originally Uploaded on May 28, 2020 18:23
posted by 冬の夢 at 00:05 | Comment(0) | 音楽 ジャズ | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする