[文芸・読書]の記事一覧

水曜日と,木曜日のつぎの金曜日─Wednesday, and Friday after Thursday ─ ;小説を書きました[2020/09/10]
「お兄ちゃん!」  黒のアンサンブルに白いマスク姿の敦子は、大声を出した。 「いくらなんでも、私に連絡しないなんて、不人情すぎる、ひどい」  良一は、自分のマスクの上..

雨の日の自画像 ─ a rainy day portrait ─ ;小説を書きました[2020/09/01]
 わたしは、鏡や写真にうつったわたしを描くのはいやだった。わたしが思う、わたし自身の姿を描きたかった。それが自画像の描きかたとして正しいかどうかは、わたしにはわからないけれ..

あなたが、ここにいてほしい ─ wish you were here ─ ;小説を書きました[2020/08/19]
「すまないが、これ以上のいきさつも、そうなった理由も、おれは知らないんだ。きみが生まれたとき、もっと積極的になにか行動すべきだったと思う。しかし、あのときおれには、どことな..

John Keats を読む Ode on a Grecian Urn  邦訳【説明】[2020/05/08]
 大英博物館は先週(二〇二〇年四月二十八日)、オンラインコレクションの大規模刷新が完了し公開すると発表した。  このリニューアルで二十八万点の画像と八万五千件の情報が追加され..

John Keats を読む Ode on a Grecian Urn  邦訳【詩と訳】[2020/05/07]
Ode on a Grecian Urn 古代ギリシアの壺を讃えて Thou still unravish'd bride of quietness,  Thou ..

La Belle Dame sans Merci(あるいはCOVID-19に捧げるバラッド?)[2020/04/09]
 世に、いわゆる「魔性の女」と呼ばれる女性がいるそうな。男をたちまちのうちに虜にして、骨抜きにし、破滅させる。「宿命の女」femme fataleとも言われることもある。小説や..

袁牧の詩を暗唱する──より『随園食単』がいい![2020/03/05]
 すべて物にはそれぞれの天性があり、人におのおの素質があると同様である。人の性質が下愚ならば孔子や孟子がこれを教育しても無益であり、物の品質が不良ならば料理の名人易牙(えきが)..

木村荘八『新版 東京繁昌記』を読むとなぜわびしいのか[2020/02/12]
 岩波文庫版が出てすぐ買ったはずだが、いままで読んでいなかった。  奥付の初版は一九九三年。買った理由を思い出した。  二十五年以上前のそのころ、”裏・東京案内” ふう..

三田誠広『偉大な罪人の生涯』をぜひ読んでほしい[2020/01/31]
 三田誠広と言えば、私たちの世代は『僕って何?』で芥川賞を取った若手作家という認識しかなかったはず。その遠い昔の記憶以降は、実家が「コピーのミタ」の創業者だとか姉が女優の三田和..

John Keats を読む Ode to Psyche 邦訳【解説】[2020/01/22]
 この詩を訳す前に知っておかなければならなかったことが、ふたつある。  ひとつはギリシア神話の、プシュケーとエロスのこと。  もうひとつは、この詩を書いた一八一九年の春、キ..

John Keats を読む Ode to Psyche 邦訳【完成版】[2020/01/21]
Ode to Psyche プシュケーに捧げる O Goddess! hear these tuneless numbers, wrung  By sweet en..

鄭板橋『竹石』を暗唱する[2020/01/02]
  竹石  咬定青山不放松  立根原在破岩中  千磨万撃環堅勁  任尓東西南北風    青々とした山にがっぷりかみつき、ゆるめもしない    はなから岩の割..

John Keats を読む Ode on Melancholy 邦訳【完成版】[2019/09/13]
Ode on Melancholy No, no, go not to Lethe, neither twist Wolf's-bane, tight-root..

John Keats を読む Ode To A Nightingale 邦訳【完成版】[2019/09/08]
 ODE TO A NIGHTINGALE. My heart aches, and a drowsy numbness pains My sense, as ..

「John Keats を読む」再開にあたり、これまでの全記事本文を手直ししました[2019/09/04]
「John Keats を読む」──このブログの筆者(ケ)が、ジョン・キーツ(1795〜1821)の詩を訳そうとしているシリーズ──を再開するにあたり、これまでにアップロードし..

John Keats を読む Ode on Indolence 邦訳【完成版】[2019/08/30]
 しばらく中断していた、ジョン・キーツ(一七九五〜一八二一)の詩を読んで訳す、という危険運転、いや無謀行為、どちらでもいいが、それを再開。  大学で英文学の先生をしている友だ..

ドストエフスキー『地下室の手記』 〜 四十年ぶりの再読[2019/08/10]
 本屋の文庫本コーナーで毎年夏になると開催される「新潮文庫の100冊」。1976年に始まったときは、本の売り出し企画があまり一般的ではなかったので、かなり注目を集めたと記憶して..

ユーミンの歌詞と日本語の深い闇[2019/05/16]
 高校〜大学時代の友人にユーミン(荒井/松任谷由実)の大ファンがいた。ここで「いた」と過去/完了形で書かねばならないことが真に痛恨事であり、今こうして書きながらも、心に不穏..

スタニスワフ・レム『大失敗』 〜 コンタクトの後の悲劇[2019/03/29]
「宇宙人」という言葉に違和感を覚えたことはなかった。子どもの頃に親しんだ少年マガジンや少年サンデーには、ややおどろおどろしい三面記事風の読み物ページがあって、そこには必ず「宇宙..

哲学という徘徊[2018/09/03]
 ちょっと気になることがあり、かれこれ30年以上前に手にした本(というか、正確には小文)を再読してみた。クワイン(Willard V. Quine; 1908-2000)という..

さようならピーター・メイル 南フランスの記憶とともに[2018/08/23]
 残暑のなか、とくに理由はないが、ピーター・メイルのエッセイを再読していた。 『南仏プロヴァンスの12か月』('A YEAR IN PROVENCE' 邦訳:一九九三年)..

日本の古代史を「朱」の採掘輸出ビジネスで解釈しなおそうという面白い本が出た .[2018/08/18]
 このブログで著書を紹介してきた蒲池明弘さんが、この夏、文春新書にさらに一冊の新著を加えた。  題して『邪馬台国は「朱の王国」だった』。  これまた面白い本なので、手にとっ..

さようなら青山ブックセンター六本木店−反省とともに【改】[2018/06/28]
「本の時代」を支えた書店が、またひとつ閉店した。  かつて「ABCに寄ってから行くわ」で話が通じた、青山ブックセンター六本木店だ。  一九八〇年代中盤から一九九〇年代、もっ..

A.E.Housmanの詩[2018/05/29]
   このところ、特別に鬱というわけではないのだが、仕事が忙しいことと、おそらくは忍び寄る老いが災いして、腰やら肩がまるで錆び付いた自転車のようにキーキーと悲鳴を上げて、あま..

ジョン・グールド『ヒマラヤ山脈百鳥類図譜』− 美しい本に出会った[2018/01/10]
 美しい本に出会った。 『ヒマラヤ山脈百鳥類図譜』。  一八三二年に、イギリスの剥製師・鳥類研究者・博物学家にして出版者でもあった、ジョン・グールド(一八〇四〜一八八一)が..