2018年07月13日

たまには詩でも #8

   * * * *
軒を打つ雨の音
あるいは雫の音
その小さな規則的な繰り返しに
なぜ心はこんなにもかき乱されるのだろう
なにひとつ思い当たる思い出もないのに
そしてとうとう
それが時計の音に似ていることに気づき、驚き
そして苦笑する
自然の作る大きな水時計
いつ止まるともしれない心臓の音にも似ている

   * * * *
無表情な梅雨空を見上げていると
最初はこちらまで陰気な気持ちになるのだが
やがてそれが完全な無関心の完全な写し絵だと知り
まるで大都会の真っ只中にいる気分を感じて
不思議に愉快な気持ちになる

   * * * *
文字通りに一睡も眠れなかった
夜がようやく明ける
カーテン越しに差す朝の光
その窓の向こうに小鳥たちの囀り
眠れない夜からの思いがけない贈り物

   * * * *
人は生を砂時計に喩えたがる
けれども生はむしろその砂粒の一つに喩える方がずっとふさわしい
自由落下する孤独な粒子
それはある日何かの底に到達して
そしてもう二度と動かない

   * * * *
雨の音を聴きながら
いつまでもいつまでもベッドの中に
埋もれていたい
休日の昼下がり

(H.H.)




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posted by 冬の夢 at 01:37 | Comment(0) | 文芸・読書 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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