2018年06月19日

Lowden F32 (mid - '90s) のリペアについて【続】【改】

 アコースティックギターの、すぐれた調整技術者とは。
 楽器を持って行って、自分の弾きかたに合った状態に近づけてほしいときの。

・ギター全般はもちろん、個々の楽器特有の部分にも、知識がある。
・机上の情報だけでなく、実際に楽器を見たり修理調整したりして得た知識が多い。
・楽器を長い目でとらえる感性があり、状態の落ち着かせどころを知っている。
・必要以上に手を加えない。
・持ち主の使いかたを理解して調整でき、手を加えた部分や目的を説明できる。

 固い書きかたをしなくても、当たり前のことばかりの気もするが、昨日今日にはなかなかできないことだ。
 商売としてやるなら、技術判断と顧客対応のバランスがとれた仕事の流れも必要だ。ワシが調整したからには完全なギターじゃ! と怒鳴れば、客がみな「ヘヘー」と法外な調整料を払うならいいけど。

 弾かずに置きっぱなしの時期もあったが二十年ちかく持っている、Lowden F32 の現状診断と、必要に応じた修理をさきごろ依頼した。重要なパーツの交換となった。
 結果、弾く感じがかなり変わったことは、このブログに書いた。
 楽器マニアではないので構造の知識があまりなく、アコースティックはこれ一台しか持っていないから、違和感を比較でうまく説明できない。再調整を頼むときりがなくなり、ああでもないこうでもないと切削や調整を繰り返したら取り返しがつかなくなるのではという不安もあって、必要な修理はしたからもういい、と納得することにしていた。
 しかし、演奏力不足はあるとしても、修理前まで弾けていたことが、楽器の具合が変わって出来なくなったのは悲しい。

 というわけで、今回の修理を機に知り合った別の楽器店に持って行った。その昔この楽器を買ったころ、輸入販売や修理調整を担当していたという人に出会ったからだ。

180619Ld.JPG

 魔法のように良好な状態になった。
 演奏はへたくそだが、長年、手にしているから、「これでどうでしょうか」と渡されて握った瞬間、楽器の状態はわかる。その場で作業が完了した。自分の楽器を見せてもらいながら説明も聞けて完全に理解。はじめに書いた各項目を痛感した。
 今後、故障したら自分で状態を説明できる。なんとなく変です、じゃなくて。話は違うが、自分の病気や体調だって、こんなふうに病院とやりとり出来たらどんなに爽快だろうと、しみじみしてしまった。

 今回の調整は、ただでさえ持っている人が少ないメーカーのギターの、さらにトリビアなネタなので、面白くなさそうだから詳細は略。
 北アイルランドのジミな街で、自前の木工技術でぼちぼち作られていた昔ふうの楽器と思い込んできたが、当時のライブやスタジオで使うための最新技術が簡単に組み込める仕様にもなっていて、その部分を使って調整がついた。
 かつて Lowden の工場にも行ったという担当者だから、この調整ができた。当時、ベルファストの空港には厳しい警戒体制がしかれていた── 創業者の George Lowden は、一九五一年、ベルファスト生まれ──とのことだった。

 この話、きれいに終わるためには、せっかく弾きやすくなった楽器を上手に弾かなくちゃダメだ。あるいは、昔、何度かライブで弾いたときのように、爆音でしっかり鳴らすとか。
 どちらも無理だな、いまのところ……。(ケ)
posted by 冬の夢 at 23:30 | Comment(0) | 日記 旅・徘徊・発見 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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