2013年09月08日

嘘をついて東京オリンピックを開催すること

 9月7日にブエノスアイレスで開かれた国際オリンピック委員会の最終プレゼンテーションで、安倍晋三がスピーチした。そのニュース映像を見ていて、耳を疑った。

"Some may have concerns about Fukushima. Let me assure you the situation is under control. It has never done and will never do any damage to Tokyo.”

※プレゼンの英文全文をウエブで探したが、ないので、しかたなく同時通訳入りの映像から自分で書きとった。

 情けないことだが、プレゼンを聞いて、足がガクガクしてきた。怖ろしさでだ。
 どうして、嘘をついてまで東京でオリンピックをやらなければならないのだろう。
 それが効果的だということなのか、首相が自分で英語でプレゼンした。だからこの発言は、通訳の誤解といういいわけはできない。
 こういうことを世界に向かっていい放ち、それでオリンピックをやって、わたしたちは顔を上げて歩けるのだろうか。もはや理解の域を完全に超えている。
 この件に関してはむろん、根拠について会場の委員から質問が出た。
 それについて安倍が話したことを、以下に記す。

※これも全文をウエブで探したが、現時点ではないので、やはりニュース映像から自分で書き取った。

「まず結論から申し上げますと、まったく問題ありません。どうかヘッドラインではなくて、事実を見ていただきたいと思います。汚染水による影響は、福島第一原発の港湾内の、0.3平方キロメートル範囲内の中で、完全にブロックされています。福島の近海で私たちはモニタリングを行っています。その結果、数値は最大でもWHOの飲料水の水質ガイドラインの五百分の一であります。これが事実です。そして我が国の食品や水の安全基準は、世界でも最も厳しい、厳しい基準であります。食品や水からの被曝量は、日本どの地域においてもこの基準の百分の一であります。ま、つまり、健康問題については、今までも、現在も、そして将来も、まったく問題ない、ということをお約束をいたします。さらに完全に問題のないものにするために、抜本解決に向けたプログラムを私が責任をもって決定し、すでに着手をしております。実行していく、そのことをはっきりとお約束を申し上げたいと思います。私はかつて被災地を訪問した際に、一人の少年と会いました。彼はその被災地を訪れた外国人のサッカー選手からもらったボールを宝物のように自慢げに、私にそれを示しました。その時、私はこう思ったんです。このボールは、彼にとって単なるボールではない。単なる宝物ではないんです。まさにこのボールは彼にとって希望なんです。未来への希望です。今この瞬間にも福島の青空のもと、子どもたちはサッカーボールをけりながら、復興そして未来を見つめています。私は日本の総理大臣として、彼らの安全と未来に責任を持っています。そして日本にやってくるアスリートの皆さんに責任を持っている、必ずその責任を完全に果たしていくということを、お約束申し上げます。ありがとうございました」

 9月8日、ふだんあまり熱心には見ないテレビニュースを、チャンネルを変えながら見た。バンザイ一色だ。
 テレビとはそういうものだ、とわかっている。しかし、東京決定のニュースの冒頭に安倍のプレゼンに対する批判を持ってくる勇気はないにしても、せめて、一瞬バンザイを止めませんかと訴えることは一局たりとも出来なかったのだろうか。まだ週明けの新聞を見ていないし、読売新聞などは特別版を刷ったという号外も見ていないから、新聞にはひょっとして何かいう所が一社はあるかとも思うが。それとも、これほどまでに政府と東電はうそつきだ隠匿体質だと批判してきておいて、オリンピックとそれとは関係ない、ということになってしまうのだろうか。
 福島で起きた事故を通じて日本人は原子力発電所について、ここまでの事態になってもなお賛否は議論中だという了解はするにしても、「まったく〜ない」という表現だけは絶対に不可能だ、ということ「だけ」は知ったはずだ。
 あるいは――ひょっとするとそれが足がふるえた理由かも知れないが――安倍が「事実を見ていただきたいと思います」といって何事かを示すと、それが「事実」なのだろうか。
 猪瀬直樹はIOCでのプレゼンの練習をし過ぎたか、日本人に向かって話すときも、手をバタバタさせ体をクネらせながら話す癖がついている。バカにしか見えない。ところが安倍晋三は、英語もジェスチャーもそれよりかなり上手く見えたせいか、役者が上だ、安倍のプレゼンで決まった、と、支持者の信頼度もさらにアップしているようだ。
 七年もたてば、すべて解決しているからいいじゃないか、解決するためのすばらしい目標が出来たじゃないか、そう考えればいいのだろうか。(ケ)
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posted by 冬の夢 at 22:58 | Comment(1) | 時事 社会 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
同人同士でのコメントも何ですが、「嘘つき」というか、驚くべき「無責任」というか。あるいは、驚くべき阿呆なのか? しかし、やはり「嘘つき」+「無責任」なんだろうな。「嘘つき」であることはブログの記事の通り。「無責任」というのは、「こんな大それた『国際公約』をしてしまって、おっさん、大丈夫か?」ってこと。別にどうだっていいとも言えるが、近代五輪史上始まって以来の「ドタキャン」がありえるのではないかと、今から心配で禿げそう。「あんたのところの首相は嘘つきですね」って言われるのも辛いものがあるけど。
Posted by H.H. at 2013年09月09日 23:27
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